すべての関係が唯一無二のもので、決して止まることのない時間の流れの中で、二人の人間が交差し、放ちあった感情の形を、実に素晴らしく写真というメディアで再現しているのではないかと感じた。
(古屋誠一)
笠井爾示作品集。
かつて10代の大半を過ごしたドイツのシュツットガルト。
写真家は約30年ぶりに家族と共に訪れる。
彼の地へ行くのなら被写体は母親にすると決めていた。
ドイツや母親との関係は巻末に語られているが、シュツットガルトの街と寝食を共にする母親の姿は生まれたばかりのように写っている。
一貫して縦の構図で撮られた人間の尊厳を讃えるかのような135枚。
時系列に並べ、足すことも引くことも出来ず、「撮らされた」という感覚だけが残ったという。
著者:笠井爾示 編集・造本設計:町口景 出版社:bookshop M 2022.1 初版 ソフトカバー /函 184p
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