ジャンル分けして聞くことはもうほとんどないし、アーティストをジャンルで区切るのもほとんど時代遅れと言っていいのだろう。この本にももちろん登場するがはっぴいえんどはロックで大瀧詠一はポップスだといちいち分ける人はいないだろう。じゃあ細野晴臣はどうなるんだという話になる。星野源は?
では何故こんなにも才能豊かな音楽家が日本で生まれ、世界中で聞かれているのだろう。
山下達郎の何が世界中のポップス愛好家を惹きつけるのか。
音楽史を振り返って色んな時代に色んなジャンルが生まれたことを検証されたり批評されたりするものを読むことはすこぶる面白く、やめられない。岸野雄一先生も参加した本書、シティポップの歴史は日本のポップス史そのものだ。
”国内外で空前のブームに沸くシティポップ――今や、「80年代の日本で生まれた都会的ポップミュージック」と認識するだけでは足りない、多面的な存在である。それは、どのような音楽・文化なのか。なぜリバイバルは巻き起こったのか。資料を徹底的に渉猟、現象をあらゆる角度から分析し、多彩な執筆陣の声とともに、その可能性と問題点とをえぐり出す。
シティポップ論を(再)起動させ、さらに豊かに聴くための、決定版論考。”
【目次】
はじめに
第1章 シティポップ概説
1-1 シティポップのあらまし
1-2 シティポップの黄金時代:1980年代
1-3 シティポップの衰退と展開
第2章 シティポップという「物語」
2-1 編纂されるシティポップのルーツ
2-2 シティポップにおけるはっぴいえんどの重力圏
2-3 シティポップ(ス)と「脱政治」のポリティクス
補論1 はっぴいえんどのシティポップへの影響を風景論を通して考える――岸野雄一
第3章 シティポップの再興
3-1 国内におけるシティポップス再評価への道程
3-2 ネオシティポップとは何か
第4章 グローバル化するシティポップ
4-1 海外からの発見
4-2 アジアとシティポップ
補論2 〈再発見〉はどこから来たか?:海外シティポップ・ファンダムのルーツと現在地――モーリッツ・ソメ+加藤賢
補論3 [インタビュー]韓国のシティポップブーム解説――長谷川陽平(聞き手:柴崎祐二)
第5章 シティポップの行方
5-1 シティポップブームはどこに向かうのか
5-2 シティポップの可能性
あとがき
編著:柴崎祐二 出版社::河出書房新社 2022 ソフトカバー 344p
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