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new編棒を火の色に替えてから 冬野虹詩文集

ことばの多面体

※本人素描ポストカード付


鏡の上のやさしくて春の出棺

やせた鳥と四月の海に堕ちにけり

三月や麒麟の夢を指にまき

中庭に月紅く居るヴァイオリン

灰色の夢に蛍をぬりこめる

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俳句・詩・短歌・童話・歌詞・絵画など多様な形式でのきわめてすぐれた表現を達成し、吉岡実(詩人)、中西夏之(美術家)、永田耕衣(俳人)ら第一級の芸術家たちが才能をみとめた作家、冬野虹(1943-2002)による珠玉の作品群および散文をあつめた詩文集。
決して俳句に明るくない店主ですが(本書で作者を初めて知ったぐらいです)、俳句・詩・散文、どれを読んでも異界に引き摺り込まれるようでした。そこは豊穣に言葉の生きる世界。素晴らしかったです。

巻末には俳人であり夫である四ッ谷龍による冬野虹論「あけぼののために」と回想録「冬野虹との二十年」を併録。

挿画は本人によるもの
タイトルは詩の一節から

冬野虹! その名はふしぎな想像界への扉をひらく合言葉だ。
見よ、彼女の手が触れると、あらゆる事物は本来のポエジーを取り戻し、
未知の出会いに向けて軽やかに浮遊し始める。
――野崎歓さん(フランス文学者・翻訳家)

著者・Author :冬野虹 出版社 publisher:素粒社 2024 ソフトカバー 376p
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