第155回芥川賞候補作「あひる」です。
アメトーークの「読書芸人」でも取り上げられました。
当店で取り扱いしている文芸誌「たべるのがおそい vol.1」に掲載され、大反響となりました。
帯にはこの文言
「読み始めると心がざわつく。何気ない日常のふわりとした安堵感にふとさしこむ影。」
これがこの小説を良よく表していると思います。
ふとしたきっかけであひるを飼うことになった中年の夫婦と語り手である娘のわたし。
あひるの登場によりその家族に潜んでいた影が引きずり出されてくるような、読後には何とも言えない感情が残ります。また「読み返さなくてはいけなくなるような」中毒性も孕んでいます。
今村夏子は「こちらあみ子」で2011年に三島由紀夫賞を受賞した後、およそ5年の沈黙を破ってこの短編を発表しました。
「あひる」他「おばあちゃんの家」「森の兄弟」収録。
著者:今村夏子 出版社:書肆侃侃房 2016.11 ハードカバー 140p
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