知られざるラブ・ストーリーを作品と証言から大胆に読み解く、異色の文芸エッセイ。
『生涯独身で、その恋心は妹や親友に向けられたと解釈されることの多い聖人・宮澤賢治。しかし彼には相思相愛の女性がいました。お互い結婚を考えながらも叶うことのなかった悲しい恋。』
賢治の最も有名な詩集「春と修羅」は恋のはじまりと終わりを書いた「恋の記録」ではないか、という大胆な仮説が数々の資料から裏付けされ、確信に変わります。
「切ない」と言えば一言で終わりますが、ある時代に生きた男女の物語として、またあの幻想的な世界(本人は現実の世界として書いていた)の創作の背景として、大変読み応えのある一冊です。
装画・挿画には横山雄
カバーなしで緑の装丁に帯を巻いた大胆な製本も美しいです
著者:澤口たまみ 出版社:夕書房 ハードカバー 248p
新刊書籍