傑作詩集の復刊。
偕成社から1995年に出版されていた詩集を夏葉社さんがここに新しい形で復刊されました。
2013年に復刊したものを今年(2019年1月)、装い新たに出版です。
新装版は望月さんの箔押しの絵はそのままにクリーム色の子どもの素肌のような柔らかい紙が使われています。
4歳の誕生日を迎える前に亡くなった子どもとの日々を綴った19篇。
画家望月通陽さんのイラストも挿入され、読む人、見る人の心を包みます。
6年前に初めて読んだ時、「いない いない」という詩が好きでしたが今は「見えない手」という詩が好きです。
「命」の尊さを改めて教えてくれる当店お薦めの一冊です。
まだ小さくて
ゆうすけはダメがうまく言えない
どうしてもマメと聞こえてしまう
それをどこかのコマーシャルソングみたいに
マメ マメ マーメ
とからかうと
それにも
マーメ
と口をとがらせて怒る
パパ、マーメ
パパ、マーメ
その声が
今も時折ぼくのどこかで響く
ぼくが何かまちがったことをしそうになる時
まちがった方向へ行こうとする時
その声が
ぼくのどこかで響く
そうして
おまえがなくなって最初の春を
ぼくは
おまえに叱られながら行く
(『早く家に帰りたい』収録「マーメ」より)
詩:高階杞一 イラスト:望月通陽 / 出版社:夏葉社 2019.1 ソフトカバー 123p
新刊書籍