『今ここにはないものに思いをはせる。
一日は、毎日は、その連続でできている。
たくさんの特別な感情が起こる。
そのほとんどが、誰にも伝わることなく消えていく。
詩人は日記を記す。
起こらなかった出来事や、言われなかった言葉について。
それで、忘れ去られた輝く瞬間を拾いあげる。』
(滝口悠生)
もう何年も話していない母親
先月誰かと結婚したかつての恋人
昨年死んでしまった尊敬する詩人
ずっと遠くへ離れてしまったままの
すべての記憶された人々へ宛てて
俺は手紙を書く
(「日記」より)
久しぶりに同時代を生きる詩人の呼吸が耳元で聞こえるような言葉に出会い、嬉しい。
もっと言えば興奮している。
恋人に出会い、娘が生まれ、この10年間の生活を日記のように描いた古溝真一郎の第一詩集。
装画は娘さんが描いた絵。
おすすめです。
著者:古溝真一郎 出版社:七月堂 2019.1 ソフトカバー
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