五月の風が 耳元で
やさしく語る
ぼくはね
かつて生まれたこともない存在だから
死ぬこともない
ただ 今を 吹いているだけ
どこからか 吹いてきて
どこかへ 吹いていく
(風)
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詩人・山尾三省(1938-2001)の詩作品集成。
後期の作品である詩集『新月』『三光鳥』『親和力』の全作品、そして雑誌『くだかけ』に寄稿された詩を集めたものです。
この「風」のように世界や自然と(いのちと言い換えても良いのかも知れない)自分が溶け合ってしまうような、そしてそれらに対しどこか清々しくも感謝や敬意を払うような、その記憶を残すような言葉が到るところで感じられます。
『火を焚きなさい 山尾三省の詩のことば』と並び素晴らしい装画はnakaban。
解説に若松英輔
そして何と山尾三省の朗読音源をダウンロード出来るQRコードとその解説を妻の山尾春美が記した付録「朗読への招待」を掲載。
是非『火を焚きなさい』と合わせてどうぞ。
著者:山尾三省 出版社:野草社 2019 ソフトカバー 335p
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