花びらをビニール傘に貼り付けてそこに居た時間がうつくしい
あと一度着たならきっと雑巾にしようと思い今日も着ている
太陽とデートしている呆然と立ち尽くしているように見えるが
路上にはネギが一本落ちていて冬の尊さとして立て掛ける
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日常のささやかなことが歌になることで新しい光が当てられる。
日常のことだから日常の言葉で歌われる。
この視点と言葉づかいには「アー」と驚くしかない。
この本を読んでいる時間が尊くて、いつも陽が差していて心地よい。
寺井奈緒美さんの第一歌集、これは傑作ですよ。
イラストは夫の寺井俊介氏。
著者:寺井奈緒美 出版社:書肆侃侃房 2019初版 ソフトカバー
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