1990年広島生まれ、東京で活動する写真家幸本紗奈の初の写真集。
写真に写っているのは写真家が撮った一つの風景だが見つめることで浮かび上がるのは自身(見る者)の内面だから不思議だ。
撮影後、現像までの制作過程に時間をかけるという著者は何を思いながら、どのような記憶を辿りながら、暗室に立つのか。
シャッターを押すのは一瞬だが、イメージが出来上がるまでの時間を著者は大切にしているのが分かる。
上から下へ、右から左へ流れていく写真とは全く別の作品になっていて、イメージが心に沈殿していくのが素晴らしい。
お気に入りの小説を時々読み返すように、この本も開いて欲しい。
版元は『ON THE TABLE / 安西水丸』『gatering / 今井麗』を製作したBaci。
この2冊を手にとって頂いている方はお分かりかと思いますがクオリティは保証します。
デザインは『gatering / 今井麗』に続き村橋貴博(guse ars)。
初版700部。
幸本紗奈 こうもと・さな
1990年 広島県生まれ
2013年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科 山崎博ゼミ卒業
2018年 第19回写真「1_WALL」ファイナリスト
2013年 個展「しるしの話」(PIPPO/東京 浅草)
2015年 二人展「旅の合図」(新宿眼科画廊/東京 新宿)
2016年 個展「遠い部屋」(本と自由/広島 横川)
2019年 個展「遠い部屋、見えない都市へ」(ふげん社/東京 築地)
著者:幸本紗奈 出版社:Baci 2019.8 ハードカバー A4判変型(H210☓W180)48p
新刊書籍