「両の腕で包み込んで抱きしめたときの、腕の中を満たしたあの感覚。子を抱いていないというのに、寝かしつけていた時間になれば、腕がじんじんとして胸が熱くなるのだ。体の記憶は時などものともしない。」(モンスーン)
韓国で最も権威ある文学賞・李箱文学賞受賞作「モンスーン」、そして第60回現代文学賞を受賞した最新作「少年易老」、他9編を収録したピョン・ヘヨンの短編集。
喪失、都市の闇、生きているだけで降りかかってくる理不尽な出来事。
世界中どこでも起こりうる、どこにでもいる、世界の都市の人々の姿を静かに炙り出している傑作です。
素晴らしい翻訳は姜信子。
著者:ピョン・ヘヨン 訳:姜信子 出版社:白水社 2019.8 初版 242p
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