曲った手で 水をすくう
こぼれても こぼれても
みたされる水の
はげしさに
いつも なみなみと
生命の水は手の中にある
指は曲っていても
天をさすには少しの不自由も感じない
(「曲った手で」)
若松英輔編集による1917年山形県生まれの詩人志樹逸馬(しき・いつま 1917-1959)の詩集。
13歳でハンセン病を発症し、国立ハンセン病療養所の一つ全生病院(のちの多磨全生園)に入院。その後長島愛生園(岡山県)に移る。25歳でキリスト教の洗礼を受け、43歳で亡くなるまで創作を続けました。
二冊の詩集『志樹逸馬詩集』(方向社、1960年)、『島の四季』(編集工房ノア、1984年)に収録された全詩と、遺稿ノートから未公刊の詩を収録しています。
悲しみと死を見つめ、生への祈りとことばを求め続けた詩人の決定版です。
解説に代えてこの詩人へ近づくための別紙栞付き
また、巻末の年譜ではハンセン病を巡る家族の歴史を知ることが出来ます
銀の箔押しも綺麗な一冊。
著者:志樹逸馬 編:若松英輔 出版社:亜紀書房 2019.12 ソフトカバー 288p
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