「一日中陽気な気分で、周囲の人々との一体感があった。読み書きのほとんどできない人々と人生をすごしたからといって、失ったものはたいしてない。(…)教育があって自分の考えを表現できる人々、議論の達者な人々とすごしていたとしても、どれだけ考えを発展させるのに役立っていたかわからない。」
知識人はなぜ大衆と対立するのか。選民思想はどこから生じるのか。
沖仲士の哲学者、ホッファーによる思索の結晶。
ホッファーはよく知られているように、幼少期に母親を失い、同時期に視力を失い、8年後に突然視力を回復すると今度は父親と死別。そして読書に耽る毎日。
まっとうな教育も受けず、労働と読書がこの哲人を作った。
この時代に生きていたら何を考えていただろう、と考えずにはいられない。
解説・森達也
[本書は、1971年にみすず書房より刊行した『波止場日記』(新装版は2002年)を底本として新編集したものです。改版にあたって若干の修正をほどこし、新たに「距離と違和感――『波止場日記』解説日記」(森達也)を加えました]
著者:エリック・ホッファー 訳:田中淳 出版社:みすず書房 2020 4刷 四六変型判 タテ191mm×ヨコ130mm/272p
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