「何作ってんの、ポポさん?」と僕が訊くと、
「おっ、坊主!そいつが問題なんだよな。おいらは名前のないモノを作ってんのさ」とポポはいつも答えるのだった。
僕はそんなポポが好きだった。詩的な人だなと思った。
-『名前のないモノ』
1971年にブッカー賞、2001年にノーベル文学賞を受賞したV・S・ナイポールの処女作。
著者が生まれ育ったトリニダード・トバゴの「ミゲル・ストリート」。
ここで出会ったたくさんの夢想家たちの人生。
これぞ短編、ユーモアとペーソス漂う17の物語。
絶版
著者:V・S・ナイポール 訳:小沢自然、小野正嗣 出版社:岩波書店 2005
初版 ハードカバー 285P
B(帯)