2010年に国立民族学博物館他で開催された「彫刻家 エル・アナツイのアフリカ」展図録です。
ガーナ出身のエル・アナツイは木の彫刻はもちろん、瓶の蓋や空き缶、アルミニウム、ゴムなど所謂廃品を集積し、一枚の巨大な布や壁に作り上げていきます。
廃品をリサイクルするという、生活がそのまま芸術へ昇華されていることに力強いメッセージが感じられます。
1980年代後半から世界で知られるようになったアフリカの美術。その先端を走るエル・アナツイの貴重な作品群を堪能出来ます。
作品とともにアフリカ美術の歴史を振り返る部分にもかなりのページを割いていて、非常に重要な一冊ではないでしょうか。
目次
エル・アナツイのアフリカ-複数の語りが共存する場への試み 川口幸也
文化のはざまで考える エル・アナツイの芸術とグローバリーゼーションにおけるアフリカの表象 シルヴェスター・O・オベチエ
空隙の戴冠-エル・アナツイのいま 水沢勉
1章 記憶を彫る
2章 歴史を紡ぐ
3章 創造のプロセス
4章 作品の背景-社会、歴史、文化
ケンテクロスとアジンクラ-アサンテにおける布の意味 阿久津昌三
エル・アナツイと、彼をとりまくいくつかのアートワールド チャールズ・ゴア
現代アフリカに生きる-ナイジェリアにおける文化の同時代性 松本尚之
エル・アナツイ-歴史とアートのはざまで創作すること 竹沢尚一郎
展示、あるいは表象のポリティクス-アフリカの「うち」と「そと」 ビシ・シルヴァ
アフリカン・コネクション-大英博物館における現代美術の収集 クリス・スプリング
発行:読売新聞社 2010 ソフトカバー 233p
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