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どこにでもあるケーキ

わたしは十三歳になっていた。

三角みづ紀の第8詩集。
bbb推薦本。

膨らんでいく身体は
焼き上がるのを待つ、
どこにでもあるケーキ。
ほっといても、
育っていくヒヤシンス。

でも わたしはそんなに簡単じゃない
でも わたしはそんなに複雑でもなくて
(森の生活より)

著者とはほぼ同世代だが、ここにある言葉を掬い上げるために詩人はどれだけ深い時間に潜らねばならなかったのか。そのことを思うと胸が苦しくなる。苦しくなるがこの本にひろげられた一枚一枚の葉が打つ脈の音、持っている温もり、それらが忘れていた私の記憶をノックしてくれる。

きっと読者の皆様にとっても特別な詩集になると思います。
たっぷりゆっくり読んでください。

表紙をはじめとする印象的な絵は塩川いづみ
小口、天地、三面赤塗り
文庫よりひとまわり大きいサイズの上製本にグラシン紙
カバーのタイトル、著者名は金の箔押し
これらを手がけた装丁は鈴木千佳子

著者:三角みづ紀 画:塩川いづみ 装丁:鈴木千佳子 出版社:ナナロク社 2020.8 初版 上製本 114p
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販売価格
1,870円(税込)

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