「誰かに悩みを相談するくらいなら、この本を繰り返し読んだ方がいいとさえ思っています」と宮藤官九郎は早川義夫の著書「たましいの場所」を推薦した。
正直な言葉、というのは語るよりも書くことで伝わることが往々にしてある。
浮気のような不道徳と思われていることでさえも早川義夫が書いた文章を読めば、好きなんだからしょうがないよな、と思う。わからないことはわからない、知らないことは知らない、好きなものは好き、恥ずかしいことは恥ずかしいと書く。
そういう早川さんを静代さんはいつも自分だけのものさしで面白がった。
どんな時も自分を見て微笑んでくれる人、その人が逝ってしまう時も早川義夫はただ正直に手紙を綴るように言葉を重ねた。
早川義夫の歌も、ジャックスも、早川書店もここにはない。
二人だけの世界があったことをただ記されている。
著者:早川義夫 出版社:筑摩書房 2020.9初版 ソフトカバー 213p
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