中井久夫第8エッセイ集
『「みすず」連載の「臨床再訪」から「病棟深夜の長い叫び——ジル症候群」「在宅緩和ケアに関与する」など4篇を筆頭に、逝去直後にひととしての昭和天皇を描いた長文の表題作、ユニークな論考「笑いの生物学を試みる」、その他、いじめについて、3・11後と震災について、臨床引退後の日々についてなど多様な文章39篇。『日時計の影』以来久々におくる、精神科医の第8エッセイ集。』(みすず書房)
〈文字は入学までは遊びの道具であった。小学校への入学は、全く別種の漢語の世界に入ることである。「第何班」「当番「委員」「級長」「副級長」「何とか係」「集合」「朝礼」「整列」「礼」「歩調」「体操」「罰則」「賞状」などなど、学校用語は実に官庁用語的であり、また、れっきとした権力用語である。教育は、ただ、ものを教わることだけでなく、権力体制の中に織り込まれ、その一部となることである〉
著者:中井久夫 出版社:みすず書房 2013 初版 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm 336p ハードカバー
C(帯あり/小口シミ)