沖縄で体験した出来事が夢になる。夢が現実に繋がっていく。
この写真を目撃している間、写真家の個人的な夢を俯瞰しているようでもあり、夢に引きずり込まれその中を彷徨うような感覚に陥ることもある。

ヨーロッパを中心に活動する写真家岡原功祐の新作は沖縄市（コザ）で生まれた。
ドキュメンタリーや写真を撮るということそのものに疑問を抱いていた時期にコザを訪れ、「撮りたい」という衝動が偶発的に生まれた。その衝動は夢にまで繋がり、コザを訪れた際の出来事、出会った人々、それぞれが持つストーリー、それらが繰り返し夢にまで出てきたという。
その体験が実験的な短編映画の制作という動機になり、短編映画はここに写真集として落とし込まれた。
初期衝動にも似た自身を貫くもの、夢の話、そういったものがこのタイトルには良く表れている。

印刷はヨーロッパのアーティストから注目を集めるイスタンブールのMAS。
本人も現地に3週間滞在し、納得の行くまでテストを繰り返した。

写真家たっての希望でクリエイティブ・ディレクター石川達也があとがきに寄稿

”コザで切り取られたイメージ。そこに、彼（写真家）は写っていなかった。撮影しているからというようなフィジカルの問題ではない。一方的にも、双方的にも、レンズを行き交う感情が見当たらない。まるで、そこにいなかったかのように。彼自身は浮遊していて、どこか遠くの高いところから俯瞰し、目の前で起きた出来事を見つめているかのように。ただ、そこには、温もりや悲しみのような人をまとう情緒がすべて削ぎ落とされたあとに残る、圧倒的な存在としてのイメージだけが、ストンッと写っていた。間違いなくその瞬間に、同じ場所で、同じ空気を共有しながらも、彼は一部ではなく、外側の世界から覗き込んでいた。
- 彼は確実に、夢の中にいた。”

石川達也 / クリエイティブ・ディレクター
（本書解説より抜粋）

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初版800部 edition 800
英語/日本語 languages : English / Japanese