「詩の世界から漢詩ばかりをみつくろい、その黴臭いイメージをさっと片手でぬぐって、業界のしきたりを気にせず、専門知識にもこだわらない、わたし流のつきあい方を一冊にまとめたのが、いまあなたの手にしている本です。」
わんたんをつくったら
いつにもましておいしくできた
肉餡に春の韮(にら)がとけ
噛むとふくよかな香りがひろがる
(わんたんスープ)
これは清の時代の詩人楊静亭という人の詩を著者が訳したもの。
読めば読むほどに斬新な本だ。
フランス在住の俳人が漢詩を交えて日々を、文学を、芸術を綴る。
文体が弾む、と池澤夏樹が紹介している通り、流麗で明晰な文章は250ページをあっという間に伴走してくれる。
苦手だと思っていた漢詩は目から鱗がぼろぼろとこぼれ落ちるように理解出来る。
南フランスの風と海が漢詩と絡まり合う不思議。
おすすめ。
著者:小津夜景 出版社:素粒社 2020.10 ハードカバー 267p
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