私はこのストリートを歩くことを選ぶだろう
いにしえの森のけものみちを
波のない静まりかえった海面を
滝のように流れ出す溶岩を
崩れ行く氷河の塊を
踏みしめるたびに不思議な音のする橙色の砂漠を
(ストリートはどこまでものびていく)
映像人類学者、川瀬慈の詩集。
フィールドワークで訪れる様々な土地に突き動かされるように吐き出された無数の言葉。
祈りであり、歌であり、または土地に積み上げられた土嚢のような言葉。
アフリカで、ヨーロッパで、沖縄で、大阪で、世界中のストリートでそれらの言葉を拾い集める川瀬さんの歩みは止まることがない。
この混迷の時代に「叡智」を運ぶ鳥はやって来るだろうか。
そんな願いが込められた一冊です。
広大な世界と足元を同時に俯瞰できる稀有な詩集。
著者:川瀬慈 装画:久保田沙耶 装丁:井川祥子 発行:Tombac 2020初版 ソフトカバー 114p
新刊書籍