”君が所帯を持ったことも、子供が生まれたことも、風の便りに聞きました。この世の中には、風の便りというものがあって、こちらがべつに求めることをしないでも、消息を聞かせてくれるものですね。何気なく齎(もた)らされるものがいちばんいい。”(夕張の友に)
師である太宰治に愛された寡作の作家小山清(1911-1965)の随筆集。
どれも「好きな人」に宛てられた私信のような文章は読者に静謐な印象を与える。
数ページの味わい深い随筆が10篇。
また、夏葉社の本では「さよならのあとで」以来となる高橋和枝さんが挿画(表紙も含む)を手掛け、小窓のようなカラーイラストが糊で貼り付けられています。
これぞ夏葉社と言える美しい一冊です。
何度も繰り返し読んで欲しい。
著者:小山清 出版社:夏葉社 2021.3 初版 ハードカバー 123p
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