「らい患者であろうが、世界一の大金持ちであろうが、何の隔たりがあるでしょうか。何にもありません。私は自由そのものなんです」(「あとがき」より)
80歳で書いた最初の著作「長い道」が絶賛された宮崎かづゑさんの第二作品集。
ハンセン病を発病し、10歳で療養所に入るまでの10年間が人生のすべて、と語る。その10年が以後の「短い」80年の人生を支えてきた。88歳で振り返った人生、54編。
「中国山地の山あいの農村に生まれ、家族の深い愛情に包まれて暮らしていた著者。幼少期にハンセン病を発症し、1938(昭和13)年、10歳のときに国立療養所長島愛生園に入園、以来、この場所を自らの天地として78年を生きてきた。
子供たちさえ労働に駆り出された苛酷な戦争時代を生き抜き、重い後遺症を持ちながら、心優しい夫と共に日常のささやかな喜びを何よりもいとおしむ。瀬戸内の小島にあっても、心はいつも広い世界をはばたいていた。そしていま、米寿を迎えた人が、ふるさとの思い出、長島での暮らしなど、心に浮かぶことをありのままに綴る。」
(みすず書房)
著者:宮崎かづゑ 出版社:みすず書房 2024 3刷 ハードカバー 四六判 タテ188mm×ヨコ128mm 240p
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