ベッドの掛けぶとんの裾のほうで
オス猫が二匹、じゃれあっていて
ぼくは枕から少し首をもたげ
それを見物している にやにやしながら
(もうじき本気でけんかするぞ)
ついさっきまで白地に茶の、この二匹
いかにも愛情ぶかげに
ときにはしつこいくらいに
お互いを舐めあっていた しっぽ、おなか
耳の中までも
「猫たち」より
猫をこよなく愛した詩人、北村太郎は生涯にわたって猫の詩とエッセイをたくさん書いた。
それらを一冊にまとめたものです。
装画・挿絵も本人によるもの。
巻末に、晩年に同居した田村和子によるエッセイ「タローさんとサブロー」を収録。
著者:北村太郎 出版社:港の人 2021.4 初版 ソフトカバー 155p
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