アドルフ・アイヒマンがアルゼンチン亡命時に残していた膨大な文章と音声の記録。
見えてくるのはナチズム信奉、ユダヤ人絶滅という仕事への自負、権力への執着。
歴史学者ではなく哲学者が史料を元に体系的に取り組んだ、アイヒマンの実像。
本書は必然的に先駆者ハンナ・アーレントとの対話に繋がっていきます。
「エルサレムでのアイヒマンの自己演出が、この犯罪者と、そして彼の殺人者としての成功といかに関係しているかを知りたいと願うなら、エルサレム以前のアイヒマンにさかのぼり、また、後の時代に作られたアイヒマン像に基づく解釈の裏に踏み込むことがどうしても必要である」(序章より)。
著者:B・シュタングネト 訳:香月恵里 出版社:みすず書房 2021.5 初版 ハード
カバー/688p
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