秋がおわろうとするとき
午睡の夢の光は変つてくる
三十分の眠りには人影のない都市の夢
一時間の眠りには回廊と壁面だけでできている
虹色の空間をぼくは疾走しているのだ
その疾走している「ぼく」を見つめているぼくの影が
地の果てまでのびて行つて のびきつたところから現実という
夢がはじまる
(一時間の夢の光り)
長編「毎朝 数千の天使を殺してから」「物と夢について」を含む1976年に発表された田村隆一の詩集。
装幀は堀内誠一
帯は丸谷才一
著者:田村隆一 装丁:堀内誠一 出版社:集英社 1980 3刷 ハードカバー 131p
C(帯)