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分解の哲学 ―腐敗と発酵をめぐる思考―(署名入)

「私たちは足し算や掛け算というよりは、引き算であり割り算の世界を生きているのではないか。」
生まれ、食べ、そして腐敗し崩壊していく人間界と自然界のざわめきに耳を傾けその美を見つめる。
サントリー学芸賞を受賞した藤原辰史の名著。

わたしたちが生きる世界は新品と廃棄物、生産と消費、生と死のあわいにある豊かさに満ち溢れている。
歴史学、文学、生態学から在野の実践知までを横断する、〈食〉を思考するための新しい哲学。

【目次】

序章 生じつつ壊れる
1 掃除のおじさん
2 属性を失ったものの必要性
3 人間界と自然界のはざまで
4 壊れたものの理念――ナポリの技術
5 機能から切り離された器官

第1章 〈帝国〉の形態――ネグリとハートの「腐敗」概念について
1 隠される腐敗
2 土壌から考える
3 〈帝国〉を描く
4 腐敗を考える
5 分解者としてのマルチチュード
6 歴史に聴く

第2章 積み木の哲学――フレーベルの幼稚園について
1 崩すおもちゃ
2 フレーベルの幼稚園
3 フレーベルの積み木の哲学
4 積み木の無限性
5 育むものとしての人間と植物
6 歌と音
7 食べる分解者たち

第3章 人類の臨界――チャペックの未来小説について
1 「分解世界」と「抗分解世界」
2 『マクロプロス事件』
3 もはや神の未熟児ではなく
4 メチニコフのヨーグルト
5 人類はいつまでもつのか
6 人類の臨界へ―─ロボットの叛乱
7 ロボットと人類の混交
8 労働からの解放による人類の滅亡――『山椒魚戦争』
9 壊しすぎるという問題─―『絶対製造工場』と『クラカチット』
10 ロボットの末裔たち
11 土いじりの生態学
12 チャペックの臨界から跳べ

第4章 屑拾いのマリア――法とくらしのはざまで
1 分解者としての屑拾い
2 明治の「くずひろい」
3 屑の世界の治安と衛生
4 バタヤとルンペン・プロレタリアート
5 ポーランドから蟻の街へ
6 満洲から蟻の街へ
7 「蟻の街」という舞台で
8 恥ずかしさと愉快さ
9 屑を喰う

第5章 葬送の賑わい――生態学史のなかの「分解者」
1 生態系という概念
2 生産者と消費者と分解者
3 「分解者」とは何か
4 「分解者」概念の誕生
5 葬儀屋とリサイクル業者
6 シマウマとサケとクジラの「葬儀」
7 人間の「葬儀」
8 糞のなかの宝石
9 ファーブルの糞虫
10 分解世界としての蛹

第6章 修理の美学――つくろう、ほどく、ほどこす
1 計画的陳腐化
2 減築
3 犁のメンテナンス
4 メンテナンスと愛着
5 金繕い
6 器の「景色」
7 「ほどく」と「むすぶ」
8 「とく」と「とき」

終章 分解の饗宴
1 装置を発酵させる
2 食現象の拡張的考察
3 食い殺すことの祝祭

あとがきにかえて

著:藤原辰史 出版社:青土社 2020 6刷 ソフトカバー 341p
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