”家をつくることは、小さな世界をつくることである。
ひとつの世界をつくることは、
第一に人のこの世界に対する態度によって決まる。”
“建築界のノーベル賞”といわれるプリツカー賞を中国人としてはじめて受賞した建築家、王澍(ワン・シュウ)。
急速な都市化の時代の到来を前に、建築家は「隠遁」を選び、中国の伝統文化に根ざした建築のあり方を思考した。
自身の建築の設計コンセプト、その背景にある思想、都市、景観論とライフヒストリーを語る。
繰り返し語られるのは山水に溶け込む中国の伝統と自然への敬意。
最後に収録されている「あの日」というエッセイが素晴らしかった。建築人生を振り返り常に原点に立とうとする姿勢に感服する。
カラー図版多数
目次
意識
園林をつくること、人を育てること
自然形態の叙事と幾何学
虚構の都市に向かって
「空間」が立ち現れるとき
営造についての瑣記
循環的建造の詩学――自然のような世界の構築に向けて
対岸の山を訪ねて――豊かな差異性を集合する建築の類型学
断面からの視野――上海万博滕頭案例館について
かつて貶められた世界が再び立ち現れるために
樹石の世界へ
言語
中国美術学院象山キャンパス
寧波美術館――その場所に立つことで見えるもの
中山路――一本の街道の復興と一つの都市の復興
対話
反逆の道程
別の世界の縁に触れる
精神の山水
自然に還る道
問答録 人ひとりにはどれくらいの大きさの家が必要か?
あの日
編訳:早間玲子 デザイン:有山達也・中本ちはる 出版社:みすず書房 2020 初版 ハードカバー / B5変型判 タテ237mm×ヨコ182mm / 336p
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