この本を読んでいると自分はあの時父親にこう言って欲しかったのだ、母親にただ見守って欲しかったのだ、と気付かされる。(突きつけられる)
子どもとの毎日はシナリオのない舞台のようで、感情や言葉をぶつけ合いながら飛ぶように時間が流れていき、ただ幸福なイメージに向かって疾走していく。
痛いほどわかる「なぜ?」という疑問に親になったり子どもになったりしながら共に考えていきたい。
本書はそんな時にきっと助けになってくれる手帖です。
村井理子さんの解説が大変分かりやすく、親と子の絡み合った紐を上手に解いてくれました。
一部内容を変更、追記した3年ぶりの増補版。是非お手元に。
下記は3年前の初版案内文。
「親の愛情=子どもの幸せ、という単純な方程式は存在しません。私たちは、伝わるようで伝わらない、届くようで届かない、そういった困難の中で、子どもたちと日々暮らしていて、子どもが苦しんでいるときには、ただそばにいる、それだけしかないできないこともあるでしょう。」
福岡で学習塾とその傍らで食料品や雑貨の販売スペースを営む著者が見てきた沢山の小中高の生徒たちとその親たち。
受験、カンニング、発達障害、学力と差別、不登校、いじめ、夫婦関係、
様々な経験から浮かび上がってきた幸せのありか。
マニュアルではなくフィクションを通して語られる様々な親子のかたちに自身を振り返ることになります。
ゆっくりと肩をほぐしてくれるような、けれどしっかりと経験に基づいた鋭い言葉を投げかけてくれます。
読者の方にとって何度も読み返す手帖になりそうな本。
著者:鳥羽和久 出版社:鳥影社2021初版 ソフトカバー223p
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