「熊本から雑誌を出そう。」
渡辺京二(評論家)の一言で、熊本にゆかりのある作家や「書きたい」という思いを持つものたちが集まった。
書かずにはいられない人たちが。
11号から始まった石牟礼道子の日記連載に加えて、渡辺京二の日記連載もスタート。
伊藤比呂美、吉本由美、坂口恭平、田尻久子らレギュラー陣に加えて今回は池澤夏樹、黒田征太郎も参加。
「国の上の方の人たちは経済が大事と言いつのる。
それはわかる。
経済がなければ人間は食べていけない。
しかし、文化がなければ人間が生きる意味はないのだ。
野の獣と同じになってしまう。
だから本が大事。
書店が大事。」(外から来るもの / 池澤夏樹)
小説家としてこの文を書いたのではないと思う。
ひとりの人間として「生きる意味はない」と言い切る強さがこの人を小説家たらしめている。
「今まで自分がやってきたことだけよ、続けられるのは」
坂口恭平は中学生になった悩める娘との会話。
部活って、生きるって、仕事って、何だろう。
坂口恭平は11号の風景画に続き、今回は墨絵で表紙を担当。
今回もどの作品も白黒のつかない揺れる心が描かれた圧倒的な内容ばかりです。
発行:アルテリ編集部(橙書店内) 2021.8 168p A5
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