”かつて首都だった大きな都市に 最後に残ったのはひとりの女性だった”
この語りから始まるこの漫画は本当に漫画だろうか。小説でもあり詩でもあり画集でもある。けれど読み進めていくとやはり漫画表現を最大に活かした傑作なのだと分かる。
破滅後の都市、という設定は決して珍しいものではないけれど、この静けさと不安、そして残された可能性への一歩はコロナ禍の日本でしか生まれなかったのではないかと思う。
選択肢は無数にある。今、あなたのいる場所から見える現実の本質を見誤るな、というメッセージが聞こえる。
解説:中条省平(仏文学者)
著者 Author:森泉岳土 デザイン:鈴木成一デザイン室出版社 publisher:青土社 2021 hardcover 53p
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