”はっきり恋をした、とおもったのは、終戦後のことだ。それまで、ぼくは、小説や映画には恋はでてくるが、ほんとに、そんなものがあるのかな、ぐらいに考えていた。
だから、恋にとっつかまったときには、もう、びっくりしたなあ。なにしろ、腹っぺらしのぼくが、食べるものが喉をとおらないんだもの。もっとも、飲むものは飲んでたけどさ。”(恋が去ったとき)
また一日、バスに乗ったり、映画をみたり、劇場に出たり、ポテトを食べたり、酔っ払ったり
コミさんのエッセイ集。昭和55年発表。
著者:田中小実昌 装幀:野見山暁治 出版社:文化出版局 昭和55年初版 ソフトカバー262p
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