"150人が語り、150人が聞いた東京の人生"
東京で生まれ育った人、東京にやって来た人。
偶然と必然のあいだで東京に居合わせた人々。
いまを懸命に生きる人々の人生。
社会学者岸政彦の発案により集められた膨大な人生の断片的な記録。
長い時間をかけてゆっくりお読みください。
名前も顔も知らない人々が今を生きているという現実に何故これほどまで心打たれるのだろう。
自分の人生に重ねてしまうからだろうか。しかし恐らくそうではない。そんなこと出来るはずがない。
いろいろあるけれど、みんな生きている。生活している。その単純な事実を読むことで自分ももう少し頑張ってみようと励まされるのだ。ほんの少し心を動かされるのだ。
……人生とは、あるいは生活史とは、要するにそれはそのつどの行為選択の連鎖である。そのつどその場所で私たちは、なんとかしてより良く生きようと、懸命になって選択を続ける。ひとつの行為は次の行為を生み、ひとつの選択は次の選択に結びついていく。こうしてひとつの、必然としか言いようのない、「人生」というものが連なっていくのだ。
(岸政彦「あとがき-偶然と必然のあいだで」より)
編:岸政彦 ブックデザイン:鈴木成一デザイン室 出版社:筑摩書房 2021.10初版二刷 ハードカバー 1211P
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