「しばしば数億円単位の実験室を持っている自然科学者から見ると、哲学者は自分の脳ミソしか持たない、典型的なプロレタリアである。その貧乏人に猫という小さな道具を与えてやったら、立派な哲学書と人生論が生まれた。人生の重荷を感じている人には、本書を読むことが救いにはならなくても、最低〈気晴らし〉にはなると思う。猫好きにとっては面白い上に感動的でもあり、つい読み切ってしまう。」養老孟司
「人間は猫にはなれない。しかし、自分のほうが優れた生き物だという思い込みを捨てさえすれば、どうして猫はいかに生きるかについて必死に探求しなくても幸せに生きられるのかが理解できるかもしれない。」(本文より)
政治哲学者が記す人生の意味と幸福についての書。
人が猫にどう反応し、行動するのか。哲学・文学と猫とのつながりを例にあげ、いかに良く生きるか=幸福を探求する。無心に生きよ!
1 猫と哲学
猫を愛する反哲学者ミシェル・ド・モンテーニュ
メイオーの旅
いかにして猫は人間を手なずけたか
2 猫はどうして必死に幸福を追求しないのか
哲学者が幸福について論じるとき
パスカルの気晴らし論
ホッジと堕落
3 猫の倫理
道徳というきわめて奇怪な実践
本性に従って生きることについてのスピノザの思索
無私の利己主義
4 人間の愛 vs 猫の愛
サアの勝利
ミングの最大の獲物
いとしのリリー
姿を消したガッティーノ
5 時間、死、そして猫の魂
ムリのさようなら
死の否定としての文明
神としての猫
6 猫と人生の意味
猫の本性、人間の本性
いかに良く生きるかについて、猫がくれる十のヒント
窓ぎわのメイオー
著者:ジョン・グレイ 訳:鈴木晶 カバー画:坂口碧 出版社:みすず書房 2022 5刷 ハードカバー 1211P
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