1955年、アメリカの3大ロングトレイルのひとつ、アパラチアン・トレイル(約3500km)を
女性としてはじめてスルーハイクしたのは、67歳のおばあちゃんだった。
エマ・ゲイトウッド、67歳、ハイキング経験なし。
DV夫と11人の子供と23人の孫をもつ彼女は、テントも寝袋も持たず、
毛布一枚にくるまりながら、トレイルを1日20km歩き続けた。
その姿はやがてニュースになり、行き先々で記者が待ち構えるようになる。
彼らの「なぜ歩くのか?」の質問をはぐらかしていた彼女は、やがてその胸の内を語り始めた。
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元新聞記者のノンフィクションライターがトレイルの行程とエマの生い立ちと生活を交互に地図を描くように書き記していく。手に汗握る展開とこの物語はどこにたどり着くのだろうかという一抹の不安。それでもこの行程を最後まで見届けなければならないという使命のようなものが湧いてくる。
一人の女性の人生が我々読むものを揺り動かすものは何だろう。
挿画はnakaban。
著者:ベン・モンゴメリ 訳:浜本マヤ 出版社:山と渓谷社 2021.11 初版 ソフトカバー 336p
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