どこまでが川でどこから海なのか確かめたくて伸ばす舌先
それぞれの場所を流れてきた水は何度も名前を捨て海になる
春のパンまつりのシールがキッチンの片隅で二度目の春を知る
まばたきの音はわたしの始まりの音であり終わりの音でもある
わたしには目は二つしかないけれどわたしを見る眼は数えられない
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木下龍也という天才歌人が見出した優しい天才。
「ナナロク社 第1回 あたらしい歌集選考会」で、木下龍也 選として、刊行が決まった島楓果(しまふうか)による第一歌集。「百発百中」と唸らせた、日常への観察眼。
金の箔押しが光る装丁は名久井直子。
著者 :島楓果 出版社:ナナロク社 2022.1 初版 ハードカバー B6変型 164p
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