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潮田登久子の不朽の名作にして時代が生んだマスターピース。
1980年代後半から1994年頃までに撮影された冷蔵庫の定点観測。
左ページに閉じたシーン、右ページに開いたシーン。

貧しいけれど平和だった暮らしを記録しておこうと家の中を撮影しているうちに冷蔵庫の存在感が気になり出した写真家は自宅に始まり、やがて親、友人、親戚の冷蔵庫の撮影を開始し、この唯一無二の作品に結実しました。

娘のしまおまほは冷蔵庫から氷や飴ちゃんを出してくる母に「おかあさんは、冷蔵庫？」と言ったそうな。

”昔の家は玄関の横に応接間があって、他人の「ウチへの侵入」をそこで防いでいた。その「ウチの奥」に置かれた冷蔵庫。その扉の中に隠されたいわば「ウチの奥の奥」までを、われわれは覗き込む。冷蔵庫の「ウチとソト」は実に、その「うち」の生活のカタチや経済状態を反映し、かつその持ち主の性格や心理状態まで表現している。おもしろい。だが、おもしろがりながら、ふと気づく。覗き込んでいるのが、単なる他人の生活なのではなく、自分のそれを含めた「われわれの生活」であることに。”

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冷蔵庫を見る楽しみ　柏木博
ウチのナカミ　佐野山寛太
おかあさんは冷蔵庫　潮田登久子

潮田登久子（うしおだ・とくこ）
1940年東京生まれ。1963年桑沢デザイン研究所写真学科卒業。1966年から1978年まで桑沢デザイン研究所および東京造形大学講師を務める。1975年頃からフリーランスの写真家としての活動を始める。代表作に様々な家庭の冷蔵庫を撮影した「冷蔵庫／ICE BOX」がある。2018年に土門拳賞、日本写真協会作家賞、東川賞国内作家賞受賞。