「子どもを産む前、わたしは自分のことをもっとずっといい人だと思っていた気がします。それから、自分がこんなにもいろいろと苦手で、『普通』が苦しかったり、うまくできなかったりするとも思っていませんでした」(長島)
「子どもが生まれて、どうにか『普通』をしてあげたいと思うのですが、諦めて見失ってしまった『普通』ってなかなか取り戻せないものですね。ましてや、私の住んでいる地域はストックホルムの中でもとりわけリベラルで、かなり自由な社会ということもあり、『普通』が何なのか本当によくわからなくなります」(山野)
日本に住む写真家長島有里枝とスウェーデンに住むガラス作家山野アンダーソン陽子の往復書簡。
全く出会ったこのない二人による「子育て」をテーマにした手紙のやり取りは親や家族、パートナーとの関係性、互いの国の政治、アーティストや女性としての仕事など言葉を積み重ね広がりを見せていく。
著者:長島有里枝・山野アンダーソン陽子 2022 初版 ソフトカバー 210p
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