”何者でもなかった時代。あらゆるものが気に入らず、理由もなく苛立ち、焦り、触れるものみな文句を垂れていたジャックナイフの如き時代。今やバターナイフと化し、パンきれすらロクに切れなくなった私には、もはや遠い彼方の記憶であるが、いまだ当時の感覚には絶大な信頼を置いている。あのとき世間に抱いた違和感は、だいたいが正しかったという直感がある。”
「(笑)わない作家」
よく分かる、特に最後の部分。それに若さは戻らないが当時の感覚は持ち続けたいと思っている。
万城目学エッセイ集。
小説は未読だと正直に版元の夏葉社さんに話すと「エッセイがね、最高に面白いんですよ」と笑みを浮かべていた。
ついでのおもい、京都へのおもい、色へのおもい、あけくれへのおもい、大阪へのおもい、の5部編成。装丁がたまらなく良い。
編著:万城目学 出版社:夏葉社 2022 ハードカバー 173p
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