最初から最後まで最高だった。
大阪出身の漫画家大嶋宏和の作品。
インセクツから初のコミック。
舞台は中之島にあるギャラリー。
年を取り家賃を滞納しているオーナー、幼子を抱える売れない画家とその妻、写真家を夢みる会社に馴染めない女性。
交錯する4人の物語は切実で、どこかで聞いたこと見たことある話で、笑えないけど「マヌケ」にも見えるから最後には笑ってしまう。
ダニエル・クロウズ、エイドリアン・トミネの影響を微塵も隠さず、細かい固有名詞の描写はある時代の空気をたっぷり吸いながら、切実さは現代のそれだ。
個人的な願いで恐縮だがたくさんの同世代の人に読んでほしい。
一番グッと来たシーンは写真家志望の女性がトイレの個室でspecialsを聴きながら踊って、そのあと辞表を出すところ。
インセクツに寄稿していた短編2作も収録。
著者:大嶋宏和 出版社:インセクツ 2022 コミック
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