大将とぼっちゃんが切り盛りする中華料理店とんこつで働き始めた「わたし」。「いらっしゃいませ」を言えるようになり、居場所を見つけたはずだった。あの女が新たに雇われるまでは――
(「とんこつQ&A」)
この作家の人間観察力というか洞察力みたいなものはどこから来ているのだろう。
いつの間にかねじれが膨らんで爆発するかと思いきや元に戻る。しかし戻ってきた世界は今までの世界とはどこか違う。爆笑するかドン引きするか、それは読者次第。
本当に唯一無二の作家だと思う。
「とんこつQ&A」
「嘘の道」
「良夫婦」
「冷たい大根の煮物」
4編収録。
著者:今村夏子 装丁:鈴木千佳子 出版社:講談社 2022 ハードカバー 220p
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