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オーバーストーリー

「アメリカ最後の原始林を救え」
絶滅の危機に瀕した巨木の「声」に召喚された名もなき人々。
国家と巨大企業に、身のほど知らずの戦いを挑む彼らの運命は?
2018年発表、2019年度ピュリッツアー賞を受賞したリチャード・パワーズの傑作巨篇。

”南北戦争前、アメリカ中西部で、ある男が庭に栗を植えた。四世代に亘り撮影しつづけた一本の栗の木の写真を、一族の末裔である芸術家が相続する。不遇を託っていた彼が出会ったのは、セックスとドラッグに溺れたあげくうっかり感電死し、たまたま蘇生した女子大生。自分が生き返ったのは「光の精霊」のおかげだと信じている彼女に導かれ、ともに西を目指す。そこには高さ百メートル近いレッドウッド(セコイア)が聳え、大陸最後の手つかずの森が、野蛮な開発の危機にさらされていた―。樹木同士のコミュニケーションを発見する聴覚障害の科学者、中国からの移民の父を自死で喪った女性技術者、撃墜され大木に救われた空軍兵士、筋金入りの動植物好きの心理学者…互いに見知らぬ人々が、巨木の「声」に召喚され、原始林を救う戦いに集結する。”

リチャード・パワーズ
1957年イリノイ州エヴァンストン生まれ。大学で物理学を専攻、のちに文学に転向する。文学修士号を取得後、プログラマとして働くが、アウグスト・ザンダーの写真と出会ったのをきっかけに退職、デビュー作となる『舞踏会へ向かう三人の農夫』(原書1985)を執筆し、各方面で絶賛を浴びる。現代アメリカにおける最も知的で野心的な作家のひとり。9作目の長篇『エコー・メイカー』(原書2006)で全米図書賞を受賞。2018年に原書刊行の『オーバーストーリー』でピュリッツァー賞を受賞。他の作品に『黄金虫変奏曲』、『われらが歌う時』、『幸福の遺伝子』、『オルフェオ』など。

著:リチャード・パワーズ 訳:木原善彦 出版社:新潮社 2022 2刷 ハードカバー 674p
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