”ラニア、あなたの愛する街、ダマスカスの美しい写真を使わせてくれてありがとう。あなたの写真があってこそ、豊かな、いきいきとした本になった。あなたのおかげで、現在のシリアが戦争や暴力や破壊と結びついているだけの国ではないことがわかる。”
ワールドカップのアジア最終予選にシリアが残っていて、選手はどこで練習しているのだろうと思ったが、シリア全土が焦土となっているわけではないということを忘れがちだ。国があり、街があればそこに暮らす人がいる。人がいればそこに料理がある。
シリア出まれの著者は幼少期にサウジアラビアに移住。毎年、夏になると両親と帰省していたシリアは、集まってくる大家族と囲んだテーブルいっぱいの料理の思い出で輝いていた。しかしそれは戦争で失われ、いま、一族は世界中に散らばってしまった。大学に入り、家を出て一人暮らしをする中で母親の料理が恋しくなり、教わって作っているうちにシリア料理にどんどん入り込んでいった著者初のレシピ本。
中東、アラブ料理の原点と言われるシリア料理、本当に美味しそうだ。
造本も素晴らしい。
著:アナス・アタッシ 訳:佐藤澄子 出版社:2ND Lap 2022 初版 ハードカバー 247p
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