フランス・アンジェを拠点とするアーティスト森田幸子の作品集。
特殊な印画紙を自ら作り、35mmのフィルムカメラで撮った写真を焼き付け、鉛筆を使って水彩画のように仕上げていく。（詳細は下記）
庭師としての側面も持つ著者は育てた植物、野菜、果物などを写真に収める。
生活の中の喜びや好奇心がそのまま作品に反映される。
写真や絵画の持つ時間をアンティークのように作品に落とし込み、けれど決して古びない美を追求しているようで、大変な労作、そして傑作になっています。

初版1000部

下記、版元より
彼女の制作プロセスはユニークだ。イタリア製水彩画紙に刷毛で感光剤を塗布し、自らの印画紙を作ることから始まり、35mmフィルムカメラを使い自然光の中で撮影された写真を、アンティークの引き伸ばし機を使用して、印画紙に焼き付ける。その後、お湯と絵筆で影を描くように感光剤を細心に取り除く。
それゆえ、彼女の作品の特徴であるドローウィングのような直感的な被写体の輪郭には、瞬間的な時を捉える写真的側面と、線や影を定義しながら時間を経て完成させる絵画的側面とのふたつの表情が垣間見える。本作『Time in Air, Time in Paper』では、そのふたつの側面を意識し、20年以上に亘る51作品を再編、水彩画紙に存在する彼女の素朴な時の流れを捉えることを試みた。「現実と過ぎ去る時間」を彼女の作品からは強く感じるが、その独特ともいえる時の流れに記憶を巡らすことで、視覚に加え、感覚によって鑑賞することの喜びを私たちに与えるだろう。

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