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子どもの文化人類学

子ども豊かな可能性を描いた名著がおよそ半世紀ぶりに文庫化。

極北の雪原に生きる狩猟民ヘヤー・インディアンたちにとって、子育ては「あそび」であり日々のこの上ない楽しみだった。
ジャカルタの裏町に住むイスラム教徒は、子どもの喧嘩を「本人同士のビジネス」と言って止めずに眺めていた。

1970年代フィールドワークでそれらを見ていた文化人類学社の著者は教える・教えられる、の関係ではなく「自分でやってみる」「自分で学ぶ」「自分で覚える」という子どもたちの姿勢に美しさを見たといいます。
読み進むに連れ、子どもの成長の過程を狭い道に閉じ込めてしまっているのではないか、そんな疑問が溢れて来ます。

解説で奥野克己さんはこう書いています。
執筆されてから半世紀、そのメッセージ性はますます重曹性をもって私たちに迫ってきます。
現代社会の子どもをめぐる状況に対する批判的な視点だけではなく、それを考え深めていくための大切なヒントが隠されています。

著者:原ひろ子 出版社:筑摩書房 2023.1 文庫 261p
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