”ずっと本を読んでいた。毎日寝て起きて食事をするように、本を読んでいた。部屋で、電車で、教室で、喫茶店で、お風呂で。高校生の頃、教室に行くのが嫌なときに向かったのは、保健室ではなく、図書室だった。司書の先生は、授業中にさぼって本を読むわたしを黙って受け入れてくれた。大人になってもまだ、そのときの心の鎮まる感じをずっと覚えている。”
(本とともにある人生)
ロングセラーを続けるデビュー作『常識のない喫茶店』の続編にして完結編。
喫茶店卒業後の日々、引越し、パートナーとの新生活、作家として歩み始めた日々。
”言わなかったことや言えなかったことが、なかったことにならないように”書く。
本を読むこと、書くことの切実さが描かれ、全編を通して流れるのは開放感にも似た優しさ。
素晴らしいエッセイです。
著者:僕のマリ 出版社:柏書房 2023 初版 ソフトカバー 163p
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