現代の思想の前線の中で、エコロジーと女性解放の運動が、たがいに分断され敵対し合うことになるのだとすれば、不幸なことだ。高見の見物をしている陣営を利するだけである。女性解放に敵対するような「生態系」論の曲解悪用も、エコロジーに敵対するような「フェミニズム」論の不毛も、共に明確に退けなければならない。
(現代の死と性と生)
これは1985年に記されている。
窒息しそうな子供たち、戦後思想の否定の仕方、現代社会の健康と空虚、大衆社会の共同幻想、食から農業問題を見る、教育のことばの困難、などなど
発表から40年近く経つ今も活きている言葉。
死者と弱者の視座で見つめる現代日本。
朝日新聞で連載された伝説の「論壇時評」、待望の復活です。
「アクチュアルにして普遍的。ほんとうの<明晰>がここにはある」
(大澤真幸)
著者・Author : 見田宗介 出版社 publisher:河出書房新社 2023 ソフトカバー 288p
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