近所の木に身も世もなく恋をする「五月」
地下鉄駅構内で死神とすれちがう「生きるということ」
他人に見えないバグパイプの楽隊につきまとわれる「スコットランドのラブソング」
恋人がベッドの中で唐突に浮気を告白する「信じてほしい」
クリスマスイブの夜、三人の酔っ払い女が教会のミサに乱入する「物語の温度」
他、どこにでもいそうな愛すべき人々の、どこにもなさそうな12ヶ月の物語。
とびきりのユーモア、独り言のように突き進む語り口、一行目から物語に引き摺り込むその技法、「現在最も優れたイギリスとアイルランドの小説家」と謳われるアリ・スミスの短編集。
翻訳でタッグを組むのはこの短編集を紹介するのが念願だったという岸本佐知子。
小説の自由と愉しさに満ち溢れた一冊。
カバー装画はヒグチユウコ
著者・Author : アリ・スミス 訳:岸本佐知子 出版社 publisher:河出書房新社 2023 ハードカバー 206p
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