家族にも友人にも本音を言うのが苦手だった。何年生きても薄い関係しか築けないのが、ずっとコンプレックスだった。自分を晒すことにどうしても抵抗があり、踏み込むのも踏み込まれるのも躊躇した。そうやって生きてきたから、誰かの友情や愛情を目の当たりにすると、決まって後ろめたい気持ちになった。冷めたふりして飄々と生きているつもりだったけれど、本当はものすごく寂しかった。
(確かに恋だった)
『常識のない喫茶店』『書きたい生活』著者・僕のマリの、原点。
私家版として発行した2作目のzineが5年の時を経て書籍化。
「湿度と温度は高かった」と自ら語り、恐らく本人にとって思い入れのある一冊。
”青春の日々”と手垢の付いた言葉を使っても物足りないくらいに切なく懐かしい日々。そしてあの日々があったからこそ今があるという確かな手触り。
著者・Author : 僕のマリ 出版社 publisher:百万年書房 2023 ソフトカバー 220p
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