自分の、祖父ほどの年齢の人の、随筆を読むことは、こうもしみじみとするものか。
祖父の皺だらけの手を握るようでもあり、祖母の焼いてくれた鮭を味わうようであり、しみじみと感動を覚える。
岡山と松山の暮らし、少年の頃の記憶、芸術(文化)との出会い、そういったものが素朴に綴られ、編まれている。編集者の愛の込もった一冊。
”野の草花を描き、匙やかんざしを木から削り出し、手びねりで土人形を作る。長くレントゲン技師を務めるかたわら、自らの美意識に導かれるままにさまざまな作品を生みだし、「セツローさん」の愛称で親しまれた小野節郎さんが残し小さなエッセイ集。”
(信陽堂)
著者・装画・挿画・造形:小野節郎 出版社:信陽堂 2023 B6変形判 ハードカバー 176p
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